電気設備学会

2009年(平成21年)電気設備学会星野賞受賞者

第3回 星野賞受賞者の功績概要

新井 慶之輔

所属
株式会社エスデー防災研究所 所長
功績概要
当学会が所管するIEC(国際電気標準会議)TC81(雷保護)の国内委員会の分科会主査を務め、文書の翻訳、我が国での適用に関する問題点の指摘など、中心的に活動してきた。また、主にヨーロッパで開催されるIEC TC81の本会議には、この10年間のほとんどの会議に参加しており、我が国の意見を会議に反映してきた。さらに、TC81関連JISの制定・改訂(JIS A 4201, JIS C 0367-1, JIS Z 9290-4)に関連して原案作成委員会の中で多くの作業を実施し、IEC TC81国内委員会において、極めて重要な役割を担ってきた。
特に、同氏が果たしてきたこの分野の教育、普及に関する役割は大きく、電気設備学会誌(ここ10年間で4編)を始めとする専門誌での解説、当学会を始めとする雷保護関連講演会・講習会での講師(20回以上)など、この分野のIEC規格解説の第一人者として活躍されている。さらに、当学会が協賛した2009年の第6回ALPF(アジア雷保護フォーラム、横浜)において論文委員会委員として、論文の審査などを通して、その成功に大きく貢献した。他にもIEC SC37A/B(低圧避雷素子)の委員としても、中心的に活動されている。上述のように、雷保護分野の海外と我が国の橋渡し役として、きわめて大きな貢献をされた。

大崎 博之

所属
東京大学大学院
功績概要
人や物や情報の交流が世界的な規模で行われている今日、重要な分野である防災・防犯設備を扱うIEC(国際電気標準会議)TC79(警報システム)、高度情報化の進展する中、必要不可欠なEMCに関する事項を扱うTC77(電磁両立性)、電気設備にとって基本的な材料の一つで最も重要な電線・ケーブルを扱うTC20(電力ケーブル)など、いずれも電気設備に密接に関わりをもつシステム、材料等に関する委員会における国内委員会委員長を務め、これらの分野における国際規格の作成に貢献された。この間、日本代表として国際会議に出席するなどして、国際規格への我が国の意見の反映に尽力された。また、作成された国際規格に対応するJISなど、国内規格の国際整合化の推進にも貢献された。
さらに、電気設備に使用される機材も多く含む、電気用品の国際化の分野において、強制法規に引用される電気安全規格のJIS開発委員会、電気用品等規格・基準国際化委員会、技術基準検討委員会の委員長を務め、先の国際規格の内容を踏まえ、それら国際規格に対応するJIS及び電気用品安全法の国際整合化に尽力された。

Chang-Hsing Lee

所属
台湾 国立清華大学電機工程学系博士課程在学中
功績概要
国立清華大学電機工程学系博士課程在学し、陳教授の指導のもとで、高電圧工学の研究を行っている。博士課程に在学しながら、ITRIの研究員やCCEC社の高電圧研究所に勤め、高電圧分野の研究に携わっている。風力発電の雷保護分野にも展開し、2009年の第6回ALPF(アジア雷保護フォーラム、横浜)で論文を発表した。
特に、当学会の国際ワークショップには継続的(2007年、2008年、2009年)に参加し、ディスカッションを通じて台湾の高電圧分野の技術向上及び会員との国際交流に尽力されている。
現在、台湾では電気学会、照明学会は組織されているが、電気設備関連の学会は存在していない。今後、同氏が台湾の電気設備関連学会の設立に尽力され、当学会との国際交流が実現することを期待される。