電気設備学会

2023年(令和5年)電気設備学会星野賞受賞者

第17回 星野賞受賞者の功績概要

寺田 克己

所属
東芝インフラシステムズ株式会社
功績概要
寺田克己氏は、入社以来、主に航空灯火システム及び航空保安用の電源システムの信頼性の向上に尽力している。加えて、航空灯火システムの標準仕様の策定にあたり、常に国内外の両面において中心的役割を果たしている。
同氏は2011年から国際民間航空機構(ICAO)における視覚援助ワーキンググループ(VAWG)に国土交通省航空局アドバイザーとして参加。同氏の知見を以って、2011年オランダ・アムステルダムにて開催された第7回VAWGから、年に数回開催される同WGの国際会議に積極的に参加し、我が国の意見をICAOの第14付属書(飛行場の設計や運用に関する規定や勧告が記載された付属書)に反映させることに尽力した。そして、滑走路状態表示灯システム(RWSL:2011年に国内に導入・運用されたシステム)は、滑走路への航空機誤侵入や、滑走路上の航空機の誤出発を防止する目的で、滑走路の占有状態を航空灯火により視覚的にパイロットに伝達するシステムであるが、このシステムの国内導入当時はこの国際標準が無く、一連の活動の中で、同氏が中心となり、日本は米国とともにICAO ANNEXにRWSLの標準を提案し、採択された。
また、氏は航空灯火システムに関する基本要件を新規に策定するとともに、既存の航空灯火関連機器に関する複数のIEC規格を統合するIEC内のプロジェクトチーム(PT)にメンバーとして参加している。IEC/TC97国内委員会には、そのIEC規格案を展開して国内意見のとりまとめを主導するとともに、IEC/TC97国内委員会に4つあるWGの主査の一人として意見の集約を図っている。そして規格案を検討するPTの国際会議に出席し、日本の意見を発信し、採用されている。
さらに同氏は地球環境委員会において、変圧器等のIEC等国際規格の動向を加味しながら、電気設備の地球環境改善に資する試算や結果の公開に貢献している。